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フェロモンに関する学術的論文要約

フェロモンに関する学術論文

以下の論文は、ヒトフェロモンを実用化し、化粧品として販売する際の、技術的な研究の発表論文です。アメリカの有名な科学雑誌にも掲載された論文であり、この手法を用いて、様々なフェロモン化粧品が商品化されています。

【課題】 ヒト被験者でのインビボ鋤鼻器官レセプター結合電位を生じるヒトフェロモンを含有する香水用香気物質および非治療的芳香組成物を提供する。

【解決手段】天然由来の一般式I、例えば式1のアンドロステンステロイドおよび一般式II、例えば式28のエストレンステロイドを含むヒトフェロモンを含有する、VNO中の嗅覚レセプターおよびフェロモンレセプターの両方を刺激する芳香性組成物および他の物質組成物等の非治療的組成物。

【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、一般に身体のケア製品、化粧品および芳香剤の分野に関し、そして消費製品に用いられる物質組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、新規の芳香組成物およびそのような芳香組成物を含有する身体のケア製品に関する。本発明はまた、ヒトにおいて活性であるフェロモン類に関し、そしてフェロモンを種々の組成物中に取り込ませることに関する。

【0002】

【従来の技術】本発明は、化粧品、特に芳香剤に関し、そしてヒトフェロモンを含有し、消費製品の製造に有用である物質組成物に関する。フェロモンは、動物またはヒトにより生産される生化学物質であり、それは同一種のもう一方のメンバーにおける生理学上特異的な、または行動上の反応を引き起こす。異なるフェロモンが各々の性のメンバーにより生産され、反対の性のメンバーの鼻内通路内の特異的なレセプターによって受容される。本発明に関するヒトフェロモンは、ある種の16-アンドロステンステロイドおよび/またはエストレンステロイドであり、それらのうちいくつかが人体内で本来存在している。

【0003】アンドロステンのステロイド類は、テストステロンに代表され、そして13位および通常10位でメチル化された四環性ステロイド構造によって特徴付けられる。16-アンドロステンは、さらに16位での二重結合により特徴付けられる。このグループのいくつかのメンバーが、いくつかの哺乳類の種でフェロモンとして作用することが報告されている-例えば、豚での5α-アンドロスト-16-エン-3α-オールおよび5α-アンドロスト-16-エン-3-オン(Melrose,D.R. ら、Br. vet. J.(1971)127:497-502)が報告されている。これらの16-アンドロステンは、雄豚により生産され、発情期の雌豚の配偶行動(matingbehavior)を誘発する(Claus, ら、Experimentia (1979) 35:1674-1675)。

【0004】いくつかの種では、ある種の16-アンドロステン(5α-アンドロスト-16-エン-3α-オールおよび5α-アンドロスト-16-エン-3-オンを含む)の種々の特徴、例えば血中濃度、代謝、および局在化は、性的に二相性であることが、いくつかの研究で明らかになった(Brooksbankら、J.Endocr. (1972) 52: 239-251; Claus ら、J. Endocr. (1976)68:483-484;Kwanら、Med. Sci. Res.(1987)15:1443-1444)。例えば、5α-アンドロスト-16-エン-3α-オールおよび5α-アンドロスト-16-エン-3-オンおよび4,16-アンドロスタジエン-3-オンは、男性と女性の末梢血液、唾液および腋窩分泌物中では異なった濃度であることが分かった(Kwan,T.K.ら、Med. Sci. Res.(1987) 15:1443-1444)。

【0005】いくつかの16-アンドロステンのヒトフェロモンとして可能な機能が、選択および判断に影響を及ぼすほどに、示唆された(同上;Gowerら、Perfumery, 68-72頁、Van Toller and Dodd,Eds., Chapman andHall,1988中の「腋窩の匂い中の芳香性ステロイドの重要性(The Significance ofOdorous Steroids inAxillaryOdour)」;Kirk-Smith, D.A. ら、Res. Comm. Psychol. Psychiat. Behav.(1978)3:379も参照のこと)。アンドロステノール(5α-アンドロスト-16-エン-3α-オール)は市販の男性用コロンおよび女性用香水(Jovan製の男性用AndronTMおよび女性用AndronTM)中で、フェロモン様活性を示すと言われている。日本公開特許公報第2295916号は、アンドロステノールおよび/またはその類似体を含有する香料組成物について言及している。5α-アンドロスタジエン-3β-オール(およびおそらく3α-オール本体)もまた、ヒトの腋窩分泌物中で同定されている(Gower ら、上述、 57-60)。

【0006】エストレンステロイドは17β-エストラジオール(1,3,5(10)-エストラトリエン-3,17β-ジオール)に代表され、そしてフェノール性1,3,5(10)A環および3位におけるヒドロキシまたはヒドロキシ誘導体(例えばエーテルまたはエステル)により特徴付けられる。いくつかの哺乳動物の種のいくつかのエストレンステロイドのフェロモン特性が記載された。Michael, R.P.ら、Nature (1968)218:746は、雄アカゲザルのフェロモン性誘引剤としてエストロゲン(特にエストラジオール)について言及している。Parrot,R.F.,Hormones and Behavior (1976)7:207-215は、エストラジオールベンゾエート注射が卵巣摘出ラットの配偶行動を誘発することを報告しており;そしてアカゲザルの雄の性反応(Phoenix,C.H., Physiol. and Behavior (1976) 16:305-310)および雌の性反応(Phoenix, C.H.,Hormones and Behavior (1977)8:356-362)におけるエストラジオールの血中レベルの役割が記載されている。

【0007】本出願に記載されたヒトフェロモンは、PCT/US92/00219およびPCT/US92/00220に記載されている。

【0008】推定ヒトフェロモンの、最もありそうなコミュニケーションの手段は、もう一方の相手の皮膚に存在する天然由来のフェロモンの吸入である。5α-アンドロスト-16-エン-3α-オールおよび5α-アンドロスト-16-エン-3-オン、4,16-アンドロスタジエン-3-オン、5,16-アンドロスタジエン-3β-オール、およびことによると、5,16-アンドロスタジエン-3α-オールを包含するいくつかの16-アンドロステンステロイドは、ヒトに本来存在し、そして皮膚上に存在し得る。ヒトの皮膚上の全ての16-アンドロステンステロイドの本来存在し得る最高濃度は2~7ng/cm2であると見積られている。親密な接触の間、ヒトは700ng以下の天然由来のステロイドに暴露されると見積られている。これらの化合物は、比較的不揮発性であるので、親密な接触の間でさえ、ヒト被験者はもう一方の相手の皮膚から0.7pg以下の天然由来のステロイドを吸入すると見積られる。本発明は、人と人との間での正常な親密な接触を行うよりも非常に多くの量の活性フェロモンステロイドを与えるので、効果的である。

【0009】しかしながら、何らかの推定フェロモンが実際に、哺乳動物の、特にヒトの性行動あるいは生殖行動において、ある役割を演じているかどうかについて、文献中には、殆ど議論がなされていない。Mammalian Olfaction, Reproductive Processes,andBehavior, Doty, R.L., Ed., Academic Press,1976 中の Beauchamp,G.K.ら、「哺乳動物の化学コミュニケーションにおけるフェロモンの概念:評論」を参照のこと。また、Gower ら、上述 68-73を参照のこと。

【0010】フェロモンのレセプターは、正常なヒトの鼻内通路に開かれている小構造である鋤鼻器官(VNO)に見出される(Moran, D.T.ら、J.Steroid Biochem. and Molec. Biol.(1991) 39:545; Stensaas, L.J.ら、J.Steroid Biochem. and Molec. Biol. (1991) 39:553; Garcia-Velasco,ら、J.SteroidBiochem. and Molec.Biol.(1991)39:561)。香気は、VNOレセプターには結合しない-フェロモンのみが結合する。VNOレセプター上皮のフェロモン特異的な電位変化は、Monti-Bloch, L. らにより記載されるように測定され得る(J. SteroidBiochem. andMolec.Biol. (1991) 39:573)。このレセプター結合活性は、活性フェロモンの本質的な特性である。

【0011】多くの市販の香水および芳香剤の組成物は、哺乳動物のフェロモンを含有する。フェロモンは一般に、種特異的であるので、市販の香水中に見い出される哺乳動物のフェロモンは、フェロモンとしては機能しないが、その代わり、芳香組成物中に固定ノートを提供する。従って、現在市販の香水、身体ケア製品および化粧品は、VNO中のフェロモンレセプターに結合せず、そして脳の視床下部と連絡している鋤鼻神経を刺激しない。さらに、いくつかの場合では、動物フェロモンまたは動物フェロモンに関する合成物の使用は、ある人にとっては、皮膚刺激またはアレルギー反応を引き起こし得る。なお、さらに、芳香剤中に使用される動物フェロモンの起源は、要因となる動物の肛門腺であるので、ある人は、これらの物質を用いることを不快に感じる。結局、市販の芳香剤中に見い出される主要成分のどれも、ヒトの皮膚に本来存在しないので、その結果生じる匂いは本来のヒトの匂いではない。

【0012】芳香剤は、天然由来のヒトフェロモンを含有するのが好ましい。なぜなら、これは、嗅覚(匂い)レセプターおよびフェロモンレセプターの両方の刺激を生じ、刺激またはアレルギー反応の可能性を低減し、身体用のより誘引的な組成物を提供し、そしてより本来のヒトの匂いを有するからである。

【0013】さらに、繊維質の紙ティッシュ、塗料、ろうそく、香料などのある種の物質組成物は、ヒトフェロモンの添加により、改良され得る。

【0014】

【発明が解決しようとする課題】ヒト被験者でのインビボ鋤鼻器官レセプター結合電位を生じるヒトフェロモンを含有する香水用香気物質および非治療的芳香組成物を提供する。

【0015】従って、天然由来のヒトフェロモンを含有する芳香組成物および他の物質組成物を提供することによって、当該分野における上記のニーズに、取り組むことが、本発明の第一の目的である。

【0016】VNO中の嗅覚レセプターおよびフェロモンレセプターの両方を刺激する芳香性組成物および他の物質組成物を提供することもまた、本発明の目的である。

【0017】ヒトの皮膚に刺激性がなさそうであり、吸入時に低アレルギー性でありそうな芳香組成物および他の物質組成物を提供することが、本発明の別の目的である。

【0018】消費者の関心を引く天然由来のヒトフェロモンを有する、芳香組成物および他の物質組成物を提供することが、本発明の別の目的である。

【0019】本来のヒトの匂いを有する、芳香組成物および他の物質組成物を提供することが、本発明の別の目的である。

【0020】

【課題を解決するための手段】本発明の目的は、香水用香気物質およびヒトフェロモンを含有する非治療的芳香組成物を提供することによって、達成される。そのフェロモンは、ヒト被験者でのインビボ鋤鼻器官レセプター結合電位を生じる。

【0021】本発明の目的はまた、アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オン、アンドロスタ-4,16-ジエン-3α-オール、アンドロスタ-4,16-ジエン-3β-オール、19-ノル-4,16-アンドロスタジエン-3-オン、19-ノル-10-OH-4,16-アンドロスタジエン-3-オン、19-OH-4,16-アンドロスタジエン-3-オン、5,16-アンドロスタジエン-3β-オール、5,16-アンドロスタジエン-3α-オール、19-ノル-16-アンドロステン-3-オン、19-ノル-16-アンドロステン-3α-オール、19-ノル-16-アンドロステン-3β-オール、1,3,5(10)-エストラトリエン-3,17β-ジオール、1,3,5(10)-エストラトリエン-3,16α,17β-トリオール、1,3,5(10)-エストラトリエン-3-オール-17-オン、1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-オールメチルエーテル、1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-イルアセテート、1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-イルプロピオネート、1,3,5(10),16-エストラテトラエン-3-オール、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される香水用香気物質およびステロイド化合物を含有する芳香組成物を提供することにより達成される。

【0022】本発明の目的はまた、香気物質およびヒトフェロモンを含有する非治療的芳香組成物であって、上記ヒトフェロモンが、以下の式を有する少なくとも1種類の16-アンドロステンステロイド

【0023】
ここで、R1はオキソ、α-(β-)ヒドロキシ、α-(β-)アセトキシ、α-(β-)プロピオノキシ、α-(β-)メトキシ、α-(β-)低級アシルオキシ、α-(β-)低級アルキルオキシ、およびα-(β-)ベンゾイルオキシでなる群から選択される;R2は、水素、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、メチル、ヒドロキシメチル、アシルメチル、アシルオキシメチル、アルコキシメチル、低級アルキル、ヒドロキシアルキル、アシルアルキル、アシルオキシアルキル、およびアルコキシアルキルでなる群から選択され、そして、「a」および「b」は必要に応じて二重結合に変更し得る部位であり、および以下の式を有する少なくとも1種類のエストレンステロイド
ここで、R4は水素、アルキル、オキソ、α-ヒドロキシ、β-ヒドロキシ、スルフェート、シピオネート、アセテート、およびグルクロニドでなる群から選択される;R5は、水素、α-ヒドロキシおよびβ-ヒドロキシからなる群から選択されR6は、水素、低級アルキル、ベンゾイル、シピオニル、アセチル、グルクロニド、低級アシル、プロピオニル、およびスルフェートでなる群から選択される;そして「c」は必要に応じて二重結合である;を包含し、上記フェロモンが、ヒト被験者のインビボ鋤鼻器官負レセプター結合電位を生じる、非治療的芳香組成物を提供することによって達成される。

【0025】

【発明の実施の形態】本組成物が開示され、説明される前に、本発明は、特異的な芳香剤、特異的なステロイド化合物などに限定されるものでなく、もちろん、そのような成分は変わり得ることが理解されるべきである。本明細書中で用いられる用語は、特定の態様を説明するためのみに用いられ、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。

【0026】明細書および添付の請求の範囲に用いられているように、単数形 「a」、「an」、および「the」は、その文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示物を包含する。従って、例えば、「香水用香気物質」への言及は、香水用香気物質の混合物を包含し、「ヒトフェロモン」への言及は、ヒトフェロモンの混合物を包含する、などである。

【0027】A.定義「環境的芳香」とは、ヒトあるいは対象物よりもむしろ、ある容量の空気に香りを付与するために用いられる芳香または香りである。環境的芳香の起源は、対象物、例えば芳香を付近の空気へ徐々に放出するように構成された対象物であり得る。

【0028】「香り」とは、それが心地よいものであっても不快なものであっても、任意の匂いまたは臭気である。香りは、香気分子が鼻内通路の嗅上皮に結合するときに、ヒトにより知覚的に認識される。「香気物質」とは、香りのある物質である。香水原料は、天然のものであっても、合成のものであっても、香気物質として記載される。「香水用香気物質」とは、第一に香りを与えるという目的で用いられる香気物質である。「匂い」とは、動物またはヒトのあとに、残された香りである。人々は、自分自身の本来の匂いを増大するために香水を使用する。

【0029】「香水」または「芳香組成物」とは、ヒトに局部的に使用する、特異的に心地よい香りの化粧品組成物である。技術的には、香水は、種々の物質の混合物であり、そして野菜起源または動物起源の天然材料を含有し得、全体的または部分的に人工の化合物またはそれらの混合物を含有する。アルコールに溶解すると、種々の揮発性芳香物質のこれらの混合物は、それらの香気を通常の温度で空気中に放出する。香水調合師にとっては、エキス(extrait)-高い比率で芳香性濃縮物と可能な限り最少量のアルコールを含有する混合物-のみが香水と呼ばれる。低濃度の混合物としては、オードパルファン(eaudeparfum),アフターシェイブ(after shave),オードトワレ(eaude toilette),オードスポルト(eaudesport),スプラッシュコロン、オーデコロン(eau decologne)、コロン,オーフレッシュ(eaufraiche)、などが包含される。アルコールで希釈される芳香溶液に加えて、オイルで希釈される芳香溶液もある。さらに、パラフィンまたは他のワックスのような固形物で、25%までの芳香剤オイルを混合して、コンパクトな香水およびクリーム香水が生産される。一般に、上記の全ての芳香組成物は、香水として表現され、そして、それが本明細書中での、その用語の使われ方である。

【0030】「フェロモン」は、同一種のもう一方の相手において生理学的に特異的な反応または行動上の反応を引き出す動物またはヒトにより生産される生化学物質である。生理学的反応に加えて、フェロモンは、鋤鼻器官(VNO)内のレセプターへの種特異的な結合によって同定され得る。従って、ヒトフェロモンはヒトレセプターに結合する。これは、フェロモンの存在下で感覚上皮組織の総電位の変化を測定することによって、実証され得る。ヒトフェロモンは、適切な性のヒト感覚上皮組織中で、少なくとも約5ミリボルト-秒の脱分極を引き起こす(フェロモンの結合は、一般に性的に二相性である)。天然由来のヒトフェロモンは、ヒトVNO中でインビボでのレセプター結合電位における性的に二相性の変化を引き起こす。天然由来のヒトフェロモンは、ヒトの皮膚から抽出され、精製され得、そして本明細書中に記載のように、それらはまた合成され得る。「ヒトフェロモン」は、ヒトに本来存在していて、そのフェロモンをどのようにして得たかに関係なく、ヒトVNO組織中で特異的に結合するリガンドとして効果的である。従って、合成分子および精製分子はともに、ヒトフェロモンであると考えられ得る。

【0031】「性的に二相性」は、同一種の雌雄間の化合物または組成物の、効果の差異または反応の差異を言う。

【0032】「ティッシュペーパー」は、使い捨てハンカチまたはトイレットペーパーとして、一般に用いられるタイプのような柔らかい、繊維質の、吸着性の紙である。

【0033】「鋤鼻器官」は、ヒトの鼻内通路に開かれ、フェロモンに対する特異的レセプター細胞を含有する盲嚢(cul-de-sac)である。

【0034】B.香水香水の技術および科学は、数百年にわたって発展して来て、現在十分に確立されている。香水の簡潔な要約は本明細書中で提供される。この主題は、Wells, F.V. およびM. Billot,Perfumery Technology, Ellis Horwood,Ltd.,出版社、第2版.1981 を含む多くの出版物において、より十分に取り扱われている。

【0035】1.成分のタイプ香料に用いられる、非動物で、天然の製品の多様性は重要である。さらに、19世紀後半および20世紀の有機化学の進歩は、天然の香気物質の天然由来の成分のいくつかを合成する能力だけでなく、同様に広く多様な人工香気物質を提供した。たいていの香水は、天然由来の原料調製物と合成香気物質とを一緒にしている。

【0036】香水調合において、一般に用いられる天然香気物質は、動物および野菜の原料の両方から得られ、そしてそれらの処理方法に基づいて次の6つのカテゴリーに分類され得る:1)凝固オイル-炭化水素溶媒で、加熱なしで抽出される;

2)無水オイル-凝固オイルから加熱なしで抽出されるアルコール;

3)精油-天然由来の原料から蒸留される;

4)搾り油-天然原料から直接、物理的に取り除く;

5)アイソレート-精油からの分別蒸留;

6)チンキ剤-天然由来の原料から長時間のアルコール抽出によって得られる。

【0037】香水調合師は、典型的には、各カテゴリー内で、種々の天然起源からの数多くのオイル、アイソレート、チンキ剤を有している。香水調合師はまた、非常に多くの系列の人工香気物質および天然由来の化合物の合成物を有している。これらの原料の各々は、「ノート」として表わされている。香水調合の技術は、完成した芳香を生産するためにこれら種々のノートの混合を包含する。

【0038】香水の調合には、多くの主観的なアプローチがあるが、たいていのものは、トップノート、ミドルノートおよびバスノートの概念を取り込んでいるようである。トップノートは、非常に揮発性であり、粘りを欠き、または持続力を欠いている。ミドルノートは、幾分揮発性が低く、そしてトップノートの改変剤として用いられる。バスノートは、さらに揮発性が低く、香りの効果が長く続く。バスノートはまた、芳香の固定剤としても表わされる。動物起源のノート、または動物性ノートを模倣する人工物は、通常バスノートである。

【0039】2.動物性ノート多くの市販の香水は、動物起源のノートを含有し、通常その原料が得られる種のフェロモン、または動物性ノートの特性を模倣する合成物および人工的ノートを含有する。主要な動物由来のノートは、以下の通りである:1)ムスク-ジャコウジカの匂い腺から由来である;

2)シベット-ジャコウネコの腺分泌物として得られる;

3)ビーバー香-ビーバーの包皮状卵胞から得られる;そして4)龍涎香-マッコウクジラから得られる吐き出し物または排泄物。

【0040】最初の3つは、その種起源のフェロモンであるが、フェロモンは種に特異的であるので、ヒトにおいてフェロモン関連行動を誘発しない。動物性ノートは、香水芳香剤の固定剤として用いられる。濃縮物として、動物性ノートの香りは、心地よくないかもしれないが、希釈すると、それらは最終製品に芳香を付与する。

【0041】3. ヒトフェロモン本発明において、天然由来のヒトフェロモンは、動物フェロモン、またはそれらの誘導体または同族体の代わりに、あるいは、それらに加えて、物質組成物中の成分として用いられる。天然由来のヒトフェロモンは、いくつかの利点を有する。

【0042】従来の市販の香水製品は、VNO受容基を刺激しなかった。なぜなら、ヒトのフェロモンではない香気物質は、鼻の嗅覚レセプターのみを刺激するからである。心地よい匂いで、しかもヒトフェロモンを含有する芳香組成物は、ヒトのVNO内の嗅覚レセプターおよびフェロモンレセプターの両方を刺激する。そのような芳香組成物は、従来可能であった組成物よりも、広範な嗅覚刺激を提供する。

【0043】香水は、皮膚につける;しかしながら、生きている皮膚は、その排泄および呼吸のメカニズムを有し、その分泌物および変化し得る温度を有し、媒体につき変化し得るので香水の良好な担体として作用できず、そして生きている皮膚と接触することによって香水の香りをしばしばゆがめる。ヒトフェロモンは、通常ヒトの皮膚に存在するので、ヒトフェロモンを含有する芳香組成物は、皮膚により安定な匂いを提供する。さらに、生じた匂いは、より本来のヒトの匂いがする。一般に用いられている動物性ノートに関連するいくつかの成分(例えば、ベンジルベンゾエート、パラクレゾール、ニトロムスク)は、あるヒトにとっては、皮膚刺激を引き起こすことが分かった。さらに、ヒトによっては、ある種の香水にアレルギー反応を示すことが報告されている。天然由来のヒトフェロモンを含有する芳香組成物は、一般に用いられる動物関連成分に比べて刺激またはアレルギー反応を引き起こしそうにない。

【0044】結局、動物の肛門または包皮状腺由来の原料よりむしろ、天然由来のヒトフェロモンを用いる香水の方が、多くの消費者に対して固有により関心を引くであろう。

【0045】濃縮物として、フェロモンは、感知可能な香りを有し得るか、または有し得ない。それらは、物理的あるいは機能的に嗅覚レセプターと異なるレセプターに結合するので、それらは、それら自体の匂いを運び得るか、または運び得ない。しかしながら、本明細書中に記載されたフェロモンのいくつかは、実際に香りを有する。濃縮物として、これらのフェロモンの香りは必ずしも心地よいものではないかもしれない。従って、香水中に希釈する時、その実際の上限濃度は、生じる芳香の心地よさによって決定される。一般に、ヒトフェロモンは、本発明の芳香組成物中に、約200μg/ml以下の濃度で、より一般的には、約100μg/ml以下の濃度で、好ましくは、約50μg/ml以下の濃度で、そしてさらに好ましくは 約25μg/ml以下の濃度で存在する。

【0046】フェロモンは、感知可能なレセプター結合の非常に低い閾値を有し、そして低濃度で効果的である。一般に、ヒトフェロモンは、本発明の芳香組成物中に、少なくとも約50ng/mlの濃度で、より一般的には、少なくとも約100ng/mlの濃度で、好ましくは、少なくとも約500ng/mlの濃度で、さらに好ましくは、少なくとも約1μg/mlの濃度で存在する。

【0047】C.フェロモンを含有する他の製品香水は、一般に、それ自体で身体ケア製品として用いられる。しかしながら、香りは、種々の身体ケア製品、家庭製品および工業製品とし用いられ得る。ヒトフェロモンそれ自体、または天然由来のヒトフェロモンを含有する香水の、これら他の製品における使用は、本主題の適用の範囲内に入る。

【0048】1.身体ケア製品ヒトフェロモンを含有する芳香剤は、化粧品、メイクアップ調製物、トイレットおよび美容の調製物、入浴および美容の石鹸、入浴用オイル、フェイスおよびボディーのクリームおよびオイル、腋の下の消臭剤などの調製に用いられ得る。これらの身体ケア製品の調製物は、当業者には周知である。これらの製品はしばしば芳香剤を含有する。ヒトフェロモンまたはヒトフェロモンを含有する芳香剤は、芳香剤それ自体が添加され得るのと同じ方法でこれらの製品に添加される。

【0049】2.環境的香気物質フェロモンまたはヒトフェロモンを含有する芳香剤はまた、空気清浄剤、消臭剤中にあるような環境的香気物質として、または商品(例えば、新車、販売展示台、など)のマーケッティングプロモーションなどとしても用いられ得る。芳香剤およびフェロモンは、エアーゾルディスペンサーの使用により、またはその組成物を大気にさらすことにより、フェロモン、または芳香剤およびフェロモンを、空気中にゆっくりと放出する、芳香剤およびフェロモンを含有する液体、ゲルまたは固形組成物の調製により、空気中に分配され得る。

【0050】エアーゾル投与に対しては、活性成分は、好ましくは、界面活性剤または噴射剤とともに、液状または微細化された形で供給される。活性成分の代表的な割合は、0.001~2重量%であり、好ましくは0.004~0.10重量%である。

【0051】もちろん、界面活性剤は、無毒性でなければならず、好ましくは、噴射剤に可溶性でなければならない。そのような薬剤の典型は、6~22個の炭素原子を含有する脂肪酸(例えばカプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレオステアリン酸(olestearic)およびオレイン酸)と脂肪族多価アルコールまたはその環状無水物(例えばエチレングリコール、グリセロール、エリトリトール、アラビトール、マンニトール、ソルビトール、およびソルビトールから誘導されるヘキシトール無水物(ソルビタンエステルは「スパン」の商標で販売されている))のエステルまたは部分エステル、およびこれらのエステルのポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンの誘導体である。混合グリセリドまたは天然のグリセリドのような混合エステルが用いられ得る。好ましい界面活性な薬剤は、オレエートまたはソルビタンであり、例えば、これらは、「アーラセルC」(ソルビタンセスキオレエート)、「スパン80」(ソルビタンモノオレエート)および「スパン85」(ソルビタントリオレエート)の商標で販売されている。界面活性剤は、組成物中で0.1-20重量%を構成し得、好ましくは0.25-5重量%を構成し得る。

【0052】組成物の残りは、通常、噴射剤である。液化噴射剤は、典型的には、周囲条件で気体であり、そして圧力下で液化する。適切な液化噴射剤には、5個までの炭素原子を含有する、低級アルカン(例えば、ブタン、プロパン)がある;フッ素化アルカンまたはフッ素塩素化アルカン(例えば「フレオン」の商標で販売されている)がある。上記の混合物もまた、用いられ得る。

【0053】エアーゾルの製造においては、適切なバルブを備えた容器は、適切な噴射剤で満たされ、微細化された活性な成分および界面活性剤を含有する。従って、その成分は、バルブの働きにより放出されるまで、高圧力に維持されている。

【0054】芳香剤およびフェロモンを所定の空間に放出する代替手段は、フェロモン、または芳香剤およびフェロモンを含有する液体、半固体または固体の組成物から大気中に徐々に蒸散させ、放出させることによる。ヒトフェロモンまたはヒトフェロモンを含有する芳香剤は、組成物の性質に依存して、種々の方法により組成物中に取り込まれ得る。

【0055】もし組成物が、液体、ゲル、クリームまたは軟膏であり、そしてフェロモン成分がその組成物に可溶であれば、それは組成物中に簡単に溶解し得る。もしフェロモン成分が、組成物中にわずかに可溶であるか、または不溶であれば、懸濁液は添加および混合により調製され得る。室内芳香剤、自動車芳香剤などのようないくつかの場合には、フェロモンを含有する組成物は液体状態で使用され、そして蒸散の間液体のままである。塗料などのような他の場合には、フェロモンを含有する組成物は液体として塗布され、次いで固化させて、フェロモンを残留させて固体からゆっくり蒸散させる。

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